魚を喰らう鷹

 魚を喰らう鷹

 ビヨッ ビヨッ ビヨッと鳴く ミサゴ
 ボラやスズキなど水面近くを泳ぐ魚が主食

ホバリングして着陸時
周囲の木をなぎ倒す風圧と爆音
米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ
「軍用機に事故はつきもの」というが
すでに43人(2012年7月現在)もの死傷者
米軍史上でも異例の航空機
「未亡人製造機」と揶揄されている
2003年国防総省に提出された報告書は
エンジン停止時に安全に着陸できない
機体の左右に回転翼があり
回転翼の向きを頻繁に変えるという
垂直離着陸機の機体構造固有の欠陥を指摘

 ミサゴは水面を高くゆっくりと飛びまわり
 魚を見つけると
 停空飛翔(ホバリング)で狙いをさだめ
 翼をすぼめて急降下
 水面近くで両足を伸ばし
 大きな爪を開き魚めがけて突っ込む
 体全体が水没するほど潜ることもある

アメリカ国内でオスプレイの低空飛行訓練は
環境破壊 安全が保障されていないと
住民の反対で計画は撤回されている
ハワイではアザラシやアオウミガメなど
希少な野生生物の生息域で
観光や農業への悪影響があると住民の訴えで中止
その訓練と実戦配備を日本でやるという

日本列島は無人島ではない
日本国民のいのちはアザラシやウミガメより軽いのか
配備が予定されている沖縄の米軍普天間基地
周囲は学校や病院など公共施設をふくむ住宅密集地
イラクやアフガニスタンをはじめ
世界中のいのちを もてあそんできたアメリカ
国民のいのちよりアメリカの意向を優先する
日本政府

ミサゴはいまレッドデーターリストで准絶滅危惧種に
指定されている
魚を喰らう鷹―ミサゴは保護しなければならないが
その英語名をつけた
侵略の先兵 MV22オスプレイには
米軍基地とともにアメリカへのご帰還を願い
絶滅―の二文字を捧げたい
                                *webページ他参照


 「風」10号掲載の「魚(うお)を喰らう鷹」は、日本にオスプレイ配備がおこなわれるなか、鷹のミサゴの英語名が「オスプレイ」と知り書いた詩です。
 写真は西オーストラリアパースの港町フリーマントルの巨大な壁画「フクロネズミ?」です。
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# by HirohisaT | 2012-11-17 11:03  

棄民

 棄民

セピア色に変色した
モノクロームの写真をみるように
過ぎ去った昔のできごとと思っていた
学童疎開
それがいま現実に進行している
    *
第二次世界大戦の末期
敗戦の告知がせまっていた日本
アメリカは都市への無差別爆撃をくりかえしていた
そのさなか学童疎開が奨励されすすめられた
縁故疎開を基本としたが
国民学校(現小学校)の3年から6年の児童を
半ば強制的に集団疎開させた
1945年春には全国で40万人を越えた
お寺や公共施設に収容された子どもたちは
授業どころではなく食糧や生活用品の不足で
病気やノミ シラミに悩まされた
野菜や米も不足し飢餓がはじまり
悲惨な生活を強いられた
さらに都市空襲で疎開中に家族を失い
敗戦と同時に
戦災孤児 浮浪児になる子どもたちも多かった
    *
2011年3月11日の東日本大震災
東京電力福島第一原発の苛酷事故は
事故から9ヵ月をすぎても収束の見通しは立たず
深刻な放射能被害は全国へひろがっている
県外へ避難しなければならなかった福島県民は
すべての都道府県へ6万人を越し
県内の避難者を加えると11万人近くが
避難生活を余儀なくされている

福島県内の小中高生27万人のうち
18000人が自主避難した
戦後はじまっていらいの子どもたちの疎開だ
多くの福島県民は住む場所だけではなく
安全な空気 水 食糧を奪われた
    *
広島・長崎の原爆被爆者の全面救済にも
積極的ではなかった歴代政府
またしてもこの国は民を棄てるのか

かつて 黄金の穂波ゆれる
ジパングと
憧れのまなざしでよばれていた国


 *本当にどうしようもない国です。財界の要請で原発稼働にやっきになっている政府。国民のいのちも考えずに財界様々で、もみ手をしているみじめな首相はもういらないですね。
 写真は西オーストラリアのパース近郊の風車です。全部で48機、これと太陽光発電で5万世帯の電力をまかなっているとのことです。
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# by HirohisaT | 2012-05-18 17:52  

居眠り

 居眠り―イナバウアー

いつもの通勤電車いつもの立位置
下を見ると女性が寝ている
ずーっと体をのけぞらせて頭は後ろの窓へ
上を向いた口がポッカリと開いている
黒いタイツ 裾が水玉模様のワンピース
黒いカーディガン
手にはアンパンマンのぬいぐるみがついた
ピンクのケイタイ
ピンクのコードで両の耳にイアホーン

駅に着くたびに目を開ける
その姿は普通の女性
すぐに眠りに入りまたイナバウアー
すましている日常はうかがいしれないが
何の防御もなく上を向いて
口をポカン

ストーブのうえで焼かれている
スルメの夢でもみているのだろうか


 *通勤電車の光景です。
 この季節はまさに「春眠 暁を覚えず~」で、老若男女問わずよく寝ていますね。こちらはつり革につかまったまま、うつらうつらしています。

 この列車はマレーシアのクアラルンプールからマラッカへ向かうさいに乗車しました。

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# by HirohisaT | 2012-04-18 14:50  

エゾ狸

 エゾ狸

となりの家で飼っていた エゾ狸を食べた
それを3歳下のとなりの長男に話すと
「逃げた」と聞かされていたのだ
およそ50年後にわかった真実
肉類はみんな味噌煮で食べた

冬になるとエゾ鹿
鹿の肉は毎日のように猟師が届けてくれた
熊も食べていた
浜に鯨があがると鯨
競走馬が足を折ると馬
海のトド
犬も普通に食べられていた
肉は貴重な栄養源だった

家で犬は飼っていなかったが
近所の犬がなついていた
学校から帰ると玄関先にいて
尻尾をいきおいよく振ってむかえてくれた
ある日帰るとその犬がいない
母に尋ねるがだまっている
しつこく聞くと 口を開いた

食べられた という
夕方その家の前へ行き
食卓をのぞくと
ストーブの上に鍋がかかっていた
おいしいのだろうか
ふと 思った


*写真は西オーストラリア・パースのモンガー湖の黒鳥です。もちろん食用ではありません。
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*ワールドライフパークのコアラです。1日20時間は寝ているそうです。
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# by HirohisaT | 2012-03-21 17:02  

いちじく

無花果―いちじく

花が無い果実 と書くのだが
食べている実そのものが花
二、三千個の花と蜜が集まって
甘い果実となる

北のまちで口にする機会はなかったが
「いちじくの果肉は人間の味がする」と
本で読んだように記憶している
上京してからも食べる気にはならなかった
いまでも自分からすすんで食べようとは思わないが
出されたものには手をつけるようになった

人間も無花果のように甘ければ
いさかいも起こさないのではないのかと
無花果の木を見上げている


 *いちじくはあんまり口にしませんが、木になる木の実はなっていると、すぐ口に入れて味を見てみます。
  冬場はまだ甘さもあると思う実も、春や夏では苦いものばかりです。でもはじめて見る木になっているもの  は、すぐに口へ入れてみます。(性分なんですね~) 「風」7号掲載です。

  韓国・済州島カンジョンの椿です。
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# by HirohisaT | 2012-03-14 16:30  

孤島にて

 孤島にて
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久しぶりですと
握手した相手はわからなかったが
さわやかな目覚めを得た朝
身支度を整えて玄関のドアを開けると
ふわーっと潮の香りが鼻をつき
玄関の外には海がひろがっていた

団地の一室が海に直結していた
目を見張ると沖のほうで鯨がゆったりと泳ぎ
潮を噴き上げている

地球が呼吸をはじめ
日本列島の形ができる前
海の中だった場所 台地の部分が島で
団地はその上に建てられていた
富士山も見える

海に入ろうと水に足をつけたとたん
寝返りをうって目を覚ます
大汗をかいていた
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# by HirohisaT | 2012-03-07 18:01  

メガネ洗浄器

 メガネ洗浄器

街のメガネ屋さんの入口に
メガネ洗浄器が置かれている
その店で買ったわけではないのに
使わせてもらっている

液に浸しスイッチを入れて一分ほど
けっこう綺麗になり
世の中の汚れたものまで良く見える
きょう見ると紙が張ってある
「メガネ以外のものは洗わないでください」

ちょうど居合わせた店員に聞いた
何を洗っているんですか
アクセサリーや時計 それに
恥や外聞まで洗い流そうとするので
液がどろどろになるんです


 *風7号掲載したものです。
 2月11日 憲法9条を体現する「百里の初午まつり」のあと訪ねた、「百里航空自衛隊基地=茨城空港」のF4戦闘機の展示。 いまここで日米共同演習が行われている。基地を民間共用として整備したのは、米軍のためという声がもっぱら。
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 百里初午まつり
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 くの字に曲がる誘導路―こんなの信じられないと米軍はいう。
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# by HirohisaT | 2012-02-15 09:39  

朝食

 朝食―ブレックファースト


目の前は海 足もとに波の音
スズメがチョンチョンと歩きまわり
サイチョウが椰子の葉をゆらす
孔雀の親子がときおり鳴き声をあげ食堂内を歩き回る
体が大きいだけにじゃまくさい
職員が指を鳴らすと
食堂の外へ出て行った

みんなともだち
 
朝のホテルの壁をヤモリが走る
蝿もとび蟻も足もとへよってくる

みんなともだち

波の音がここちよく
まったく知ることもなかった南の島の
朝の食事を楽しんでいる
おかゆに腐乳もある 麺もご飯もある
静かな幸せ
パンゴールアイランドビーチリゾート
マレーシア


 
 *昨年8月マレーシア旅行のときのスケッチです。サイチョウを生で初見。あわただしいなかで、しばしリゾート気分を味わいました。
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サイチョウ
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  食堂内を歩き回る孔雀、にわとりのようなものです。
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  スコールのあとの食堂です。
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# by HirohisaT | 2012-02-01 13:17  

墓参り

 お墓にひなんします

被爆から66年目の広島・長崎
アメリカの原爆投下で廃墟と化した街
70年は草木も生えぬといわれたが
草木の芽吹きに
失われたいのちの悲しみ
いのちの尊さを噛みしめていた
3月11日 東日本大震災
大地震と大津波と原発事故に見舞われた光景に
「あのときと同じだ」被爆者は声をあげた
    *
福島第一原発の崩壊 メルトダウン
爆発した原子炉建屋
放射能の恐怖に避難を余儀なくされ
あいまいな政府の避難区域設定に翻弄された人びと
そのなかにひとりの老女がいた

南相馬市の緊急時避難準備区域に住む93歳
静かな水田地帯で先祖伝来の田畑を守り
長男夫婦と孫2人の5人で暮らしていた
足は弱っていたが家事はこなし日記もつけていた
第一原発の二度の爆発のあと
一家も原発から22㌔の自宅を離れ
相馬市の次女の嫁ぎ先に身を寄せた
さらに女性だけ次女のもとに残し
長男夫婦と孫は群馬の民宿へ避難した

4月後半 女性は体調を崩し入院
退院後も「家に帰りたい」とくりかえし
5月3日自宅へ戻った
長男にたびたび電話しては
「早く帰ってこお」と寂しさを訴えていた

長男たちが自宅へ戻ったのは6月6日
緊急時避難準備区域は原発事故が再び深刻化すれば
すぐ逃げなければならない
長男夫婦が「今度は一緒に行こう」というと
女性は言葉少なだった
    *
家族そろった生活にもどり2週間後
女性は庭で首をつっていた
発見したときは手遅れだった
家族 先祖 近所の親しい人に宛てた
4通の遺書が残されていた
 
 家族へあてた遺書(部分)

またひなんするようになったら
老人は足でまといになるから

毎日原発のことばかりで
いきたここちしません

こうするよりしかたありません
さようなら

私はお墓にひなんします
ごめんなさい
    *
8月6日 記念式典の始まった広島平和公園
原爆資料館の横をぬけて
峠三吉の詩碑へむかう
花束や折鶴で囲まれた碑を前にして
小さく声を出しながら
碑文を見つめていた
                         
                             「毎日」7月9日付参照


 *「風」7号で発表した作品です。この事実を詩の形で表すことに、昨年の世界大会の前後をふくめ悩み続けました。
 9月のお彼岸に福島の墓参りをしました。震災後というか第一原発の爆発後初めての墓参り、セシウムがたまっていそうな草を引っこ抜くと、アマガエルが迷惑そうに顔を出しました。
 避難してだれも住んでいない家です。
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# by HirohisaT | 2012-01-18 12:04  

鯨刺

 鯨刺―げいさし

鯨が食卓から去って久しい
よく食べていたのはベーコン
「ハム」といっておやつにしていた
魚屋の店先に赤く色をつけたものが
ゴロン ゴロンと置かれていた
切り分けて販売するのだ

学校から帰り 腹へったーと声をかけると
ハムでも食べていてと母
自分で切って食べる
脂っこいのでそれほど食べられはしない

東京へでて酒を飲むようになったとき
友人と駅前の居酒屋へでかけた
金はなかったので二人で五百円札一枚
マグロを食べたいのだが高い
その店のおやじさんはそんなとき
鯨の尾の身のいいところがあるけど食べるか と
声をかけてくれる
百円で小どんぶりいっぱい出してくれた

いまスーパーの鮮魚売り場を見ると
調査捕鯨のミンク鯨など売られてはいるが
少しの切り身で五、六百円する

定食が百円で食べられた時代の
鯨刺は青春の味


 日本の捕鯨調査船やそれを妨害するシーシェパードの舟も通う西オーストラリアのインド洋。
 パースのシティビーチです。
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# by HirohisaT | 2012-01-10 11:29